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近代建築について


趣味が近代建築だと言うと「?」という顔をされる。確かに趣味という言い方は正しくないが、 「近代建築の何が好きなの?」と聞かれる。その度に自分で考えてみたところ、やはりデザインに 魅了されたと思う。近代建築という定義は自分でもよくわかっていないが、とにかく明治から昭和 初期に建てられた建築物の多くは、円窓が用いられていたり曲線が多用されていたり、威風堂々と していて純粋に「美しい」と思うのだ。ところが、何がきっかけで好きになったかは、自分でも 分からない。前にテレビで廃虚同然(失礼)のアパートが映し出され、「何これ?」と母に尋ねる と、有名なアパートだという答えが返ってきた。それが同潤会代官山アパートであることは、あと になって知った。それからしばらくして、丸の内ビルヂング(いわゆる丸ビル)が解体されるとい う記事が新聞に載った。記事によると、何やら有名なビルらしい。解体されるともう見ることは できないのだから、と、練馬区の自宅から東京駅前まで自転車を走らせ、写真を撮った。これが、 僕が初めて撮った近代建築だと思う。この時には同潤会代官山アパートの存在を知っていたようで、 帰りに代官山へ寄ることにした。しかし、アパートが建っていたところにはクレーンが並び、影も 形もなくなっていた。来るのが遅かった。それから各地の近代建築が気になるようになり、江東区 や銀座などを歩き回ることとなった。

僕は「同潤会」と言われて懐かしい思いを抱くような歳ではないし、もちろん住んだこともない。 ただ、当時としては先進的な設備を備えた集合住宅であったことを本から学び、実際に目にすると 風格があって感動した、と、それだけのことである。阪神大震災を機に、耐震性を重視する傾向が 強まり、銀座などでは建築基準(?)が緩和されたことも重なって、次々と名建築が消えていく。 原宿の表参道にある同潤会青山アパートなど、比較的有名な建物はすぐには解体されないだろうと 考え、解体間近の建物を中心に探すことにした。同潤会のアパートは、鴬谷、上野下、清砂通、 三ノ輪、江戸川、大塚女子の6ヶ所は写真に収めることができた。青山アパートは、世界的な建築 家の安藤忠雄氏が携わって再開発が計画されているらしく、形を変える前に撮りに行きたいと思う し、虎ノ門にもあることを最近知ったので、現存するならこちらも撮りに行きたいと考えている。 同潤会とは別に、江東区古石場に東京市営古石場住宅があることも本で知り、こちらにも足を延ば し、写真に収めたのだが、やはり人が住んでいる住宅にカメラを向けることには少し気が引ける。 古石場では敷地内に立ち入ったため、完全な不法侵入だろうし(アメリカだったら撃たれたな、 きっと)、同潤会では、場所によっては「写真撮影のために立ち入ることを禁ず」という立て札が あったこともあり、立ち入らなかったにしても、住人の冷たい視線を浴びながらの撮影だった。 住んでいる人の気持ちはよくわかり、カメラを向けられることを嫌うのは当然だ。今後は住宅の 撮影は控えることに決めた。ちなみに、青山は確かではないが、虎ノ門は現在は住宅ではないそ うだ。

読売新聞社から出ていた「東京建築懐古録」という本を図書館で見つけ、それを頼りに探し回った のだが、間に合った建物半分、既に解体されていた建物半分といったところだった。旧京成博物館 動物園駅や聖路加国際病院、深川図書館などはすでに解体されていて悔しい思いをした。一方、 三信ビルや九段会館、三菱倉庫、日比谷公会堂などはいまだ健在だし、銀座にも多くの名建築が 残されていた。服部和光、三愛ビル、そして今年秋に解体されることになった交詢社。有楽町の 宝塚劇場も良い建物だったのだが解体されてしまった。神田の同和病院や有楽町の泰明小学校など は、偶然前を通って存在を知り写真を撮ったものだ。前述の本だけでなく、雑誌「東京人」や 「帝都復興せり!」という文庫本も非常に参考になった。それによると、関東大震災で木造建築が 焼失し、不燃都市を目指して多くのコンクリート建築が建てられたらしい。今なお残っている近代 建築から、当時の意気込みや、コンクリートに託した夢が伝わってくる。コンクリートが完璧では ないことは阪神大震災での高速道路の倒壊や、同潤会などの壁の剥落からわかるが、現代建築には 見られない当時のデザインの美しさと先述の思想を後世に伝えるためにも、危険だからといった 理由ですぐに解体するのはやめて欲しい。街並保存を切実に望む。宝塚劇場や丸ビルは勿論、 日本劇場や東京中央電信局、東京株式取引所、そして帝国ホテルなどが残らなかったのは、非常に 残念でならない。個人的には、同潤会代官山アパートを、自分の目で実際に見たかった。

これらの名建築が紹介されている本は、朝日文庫の「帝都復興せり!」(松葉一清 著)であるが、 この本のサブタイトルが、「『建築の東京』を歩く」となっていることからわかるように、昭和 10年に刊行された「建築の東京」(都市美協会・A4判・320頁)という写真集がもとになって いる。古本屋とインターネットで探したが、見つかっても数万円の値がつく上、古い本ゆえ状態が 心配である。そこで「復刊ドットコム」に登録したのだが、建築に興味が湧いた方や名前を貸して くれる親切な方は下記アドレスにて一票投じてください。お願いします。(購入の義務はありま せん)。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。そしてお疲れさま。

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追記:原宿表参道の同潤会青山アパートが近いうちに改築されると聞き、2001年1月2日、 写真を撮りに原宿へ行った。テレビドラマやCMなどにも度々登場するアパート群には雑貨屋など テナントも入っていて、気軽に建物内部に入ることが出来る(店内へは出入り自由だが、アパート の敷地内には入らないようにとの立て札があった)。階段には木製の手すりがあり、外壁は当然 剥がれかけていたが、やはりこのままの形で残してほしいと思う。アパートの写真を撮っていた 人は自分のほかにも数人いた。

写真はこちら


※お詫びと訂正: 上の記述に一部誤りがあります。3段落目の前半、「旧京成博物館動物園駅や 聖路加国際病院、深川図書館などはすでに解体されていて…」とありますが、嘘でした(笑)。 まず、「旧京成博物館動物園駅」は現在使用を休止しているだけで、上野公園の片隅に今でも あります。ただ、閉鎖されていて普通に中に入ることができない。「聖路加国際病院」は有名な 病棟を大学(?)の建物として今でも利用しているらしい。一部保存されたみたいです。「深川 図書館」は改築されました。あらためて読み直すと、いろいろとおかしい記述がありまして…。 スミマセン。他にも事実と異なる記述が見つかったらその都度訂正しますので、ご了承ください。 見つけた方はご一報を。まぁ、あのぉ、時が経つのは早いもので、街の姿も知らないうちに変化 している、ということで……。<平成13年7月>




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